『クローントゥーイ』タイ最大のスラム街はなぜ港の中に誕生したのか?

『クローントゥーイ』タイ最大のスラム街はなぜ港の中に誕生したのか?
 
クローントゥーイ(Khlong Toei)
 
MRT(地下鉄)スクンビット駅に乗って、南下するとクローントゥーイ駅に到着します。
 
クローントゥーイの意味は「タコノキ運河」からきています。この運河はファランポーンから東に向かって掘られたトゥロン運河に接続して、東のプラカノン運河に至る運河でした。
 
現在もこの運河は残っていますが、大半は真上に高速道路が建設されています。また、かつてのトゥロン運河は埋め立てられてラーマ4世通りとなっています。
 
バンコク初の近代的な港湾設備
 
クローントゥーイは、バンコクの新しい港の建設地に選ばれた場所でした。バンコクは河口から50キロほど離れた位置にあります。
 
長らくは近代的な港湾設備はなく、川には民間の小さな桟橋が散在している状況で、河口から上ってきた船は川沿いに停泊して積荷を降ろしていました。
 
当然、大型船の乗り入れもできず、タイ湾のシーチャン島の沖合ではしげに積み替えてからバンコクまで積み荷を運んでいました。
 
そのため、1930年代に入って、バンコク初の近代的な港湾設備をつくることになり、その場所として選ばれたのがクローントゥーイでした。
 
1938年に着工しましたが、第二次世界大戦中にタイに入ってきた日本軍がこの港を使用することになって、工事は一時中断しました。戦後、工事が再開され、1948年にようやく完成に至りました。
 
クローントゥーイの新港は、取扱貨物の拡大とともに設備の拡張を続けました。船舶の大型化にも対応するために、河口から港までのチャオプラヤー川のしゅんせつも行い、より大型の船も乗り入れできるようになりました。
 
しかし、河川港のため船舶の大型化には対応できず、港の拡張も限界がありました。そこで、1960年代から新しい深水港計画が浮上します。
 
これが、1991年にタイ湾東海岸のレームチャバン港として実現することとなりました。
 
現在でもクローントゥーイは港の機能を維持しているが、タイの海の玄関口の機能はレームチャバンに譲って、タイ第二の港となっています。




タイ最大のスラム街『クローントゥーイ』はなぜ港の中に誕生したのか?
 
このクローントゥーイの名前を有名にしたのは、港ではなく「スラム街」でした。新港を建設した際に、将来の拡張用地として広大な用地を収用しました。
 
その未利用の土地に地方から流れてきた人々が住みつき、タイ最大のスラムが形成せれることになりました。
 
特に1960年代からの経済開発の時代に地方からバンコクに出稼ぎに来る人々が増加し、バンコクのスラム人口は拡大していきました。
 
その際に使われていない公共用地を不法占拠する形でスラムが増殖し、なかでもまとまった未利用地が存在したクローントゥーイに多くの住人が集まることになりました。
 
クローントゥーイのスラムでは、NGOなどのさまざまな団体がスラム内の環境の改善のために活動を行いました。もっとも有名なものが、プラティープ・ブンソンタム・ハタの新設した『ドゥアン・プラティープ財団』の活動です。
 
クローントゥーイで生まれた彼女は、スラムの子どもたちの教育機会の拡大めざして学校を設立し、貧国者への資金の貸し付けなどを行っています。また、一部のスラムは区画整理をして建て替えられ、居住環境の向上も図られています。
 
超ディープスポット『クローントゥーイ市場(Khlong Toei Market)』
 

住所:Khwaeng Khlong Toei, Khet Khlong Toei, Krungthep Mahanakorn 10110
 
MRT(地下鉄)「クイーン・シリキット・ナショナル・コンベンション・センター駅」の1番出口を出て、「ラマ4世通り」と交差し、歩道橋を上がれば市場にたどり着きます。
 
 『クローントゥーイ市場』はバンコク市内でも、最大級の生鮮食品の市場です。魚介類やに肉類、野菜や果物などが所狭しと並んでおります。
 
もともとスラム街だった一部を、市場に整備する形で作られました。
 
日本の市場の感覚からは程遠い、劣悪な環境。強烈な「におい」と「熱気」は一般的な日本人の感覚からはかなり衝撃を受けることは間違いありません。
 
他の観光地化された市場とは違い、バンコクの地元の人びとでたいへん賑わっております。特に朝がもっとも賑わう時間帯です。
 
この市場の特徴は何と言ってもその商品の『安さ』です。一般的なバンコク市内のスーパーの半額以下で買うことができます。
 
休日も関係なく、たくさんの地元の人々が屋台や食堂などの仕入れを行っております。ここが『眠らない街バンコク』の台所を支えていることがよくわかります。
 
朝市が終わる頃には、通路はゴミでいっぱい。生鮮食品から氷が溶け出してびしょびしょ。そして、激しいにおい。まさにディープと呼ぶにふさわしい市場です。
 
まとめ
 
ここクローントゥーイでは、毎年たくさんの覚せい剤や違法薬物が押収されるなど、バンコク市内の中でも、お世辞にも治安がいいとは言えません。
 
しかし、そんな劣悪な環境の下でも一生懸命はたらいているタイの人々、時折見える優しい笑顔を見ると、ここがまさに『微笑みの国タイ』であることを感じさせられます。
 
そして、日本人が忘れてしまった『何か』を気づかせてくれる、そんな場所がこの『クローントゥーイ』ではないでしょうか。