タイの政治的混乱 が再燃するのではないか!? 2017年10月、プミポン前国王の葬儀の裏側で、このような噂が流れています。
これは前国王の葬儀後、大きな影響力を喪失することが理由です。ということで、今回は、現在も安定しないタイの政治状況について、記事にしたいと思います。
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2017年タイの政治的混乱が再燃!? プミポン前国王の葬儀後に注意!! 過去には暴動や悲劇も!?
この記事の目次
プミポン前国王葬儀後にタイの政治的混乱が再燃!?
2017年10月プミポン前国王の葬儀が執り行われました。前国王は、世界で最も長い在位70年、タイ国民に父親のように愛された偉大な国王でした。
そして、前国王の偉大な影響力が無くなることで、軍や市民への統制に陰りが出るのではないかと噂されています。
基本的に国王が直接的に政治に介入することはありませんが、幾多のクーデターを起こしてきた軍も国王の意向を無視して政治に介入することはできません。
また、次期国王になる予定のワチラロンコン皇太子はまだ若く、これからが期待されるだけに、一時的にも混乱が生じるのではとの不安の声も聞こえてくるのです。
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タイの政治的混乱の元凶!! 2006年の軍事クーデターとは?
近年のタイの政治を語る上で、2006年の軍事クーデターを知る必要があります。2006年9月19日、当時のタクシン政権に対し、軍がクーデターを起こしました。
タイ王国軍の反タクシン派将校、下士官、兵士が10数台の戦車部隊を率いて、バンコクの中心部と政治、行政の中枢部を包囲、約50名の兵士が政府庁舎内を占拠しました。
これに対し、ニューヨークの国連総会に出席中のタクシン首相は、ルアンロー国軍最高司令官にクーデターへの対処を指示しますが、ルアンロー司令官もクーデターを支持します。
また、警察もこれに参加したことで、無血クーデターは成功、翌20日にはソンティ司令官が国軍を統帥している国王に忠誠を誓うと共に憲法を停止、戒厳令を全国に布告しました。
これによって事実上、軍事政権が全権を掌握することになり、現在に至るまでの政治的混乱がここから始まることになります。
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タクシン派・反タクシン派の対立によるタイの政治的混乱!!
ちなみにこのクーデターの元凶は、タクシン派と反タクシン派の対立にありました。2006年8月には陸軍幹部による、首相暗殺未遂事件も勃発します。
クーデターによる国家改造を否定し、政財界に接近するタクシン派と、国王中心の国体史上主義を信奉する反タクシン派の対立が明確化することになりました。
タクシン首相は、指示基盤である地方の低所得者に富の再分配と経済格差の是正を積極的に取り組んでいましたが、都市部の特権階級はこの政策に不満が高まっていたのです。
しかし、そんなタクシン首相にも就任当初から多数の汚職の疑いがありました。そんな中、2006年の1月にタクシン首相の親族による株式インサイダー取引が発覚します。
これによって、一挙に反タクシン派の不満が爆発、タクシン首相は一時は退陣を表明するも、再び公務に復帰したことがクーデターの引き金を引くことになりました。
ちなみに、タクシン派は赤いシャツ、反タクシン派は黄色いシャツをを互いのシンボルカラーとし、対立を深めることになるのです。
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暗黒の土曜日事件とは!?
2010年4月10日土曜日、首都バンコクで10万人にも及ぶタクシン派のデモ隊市民とアピシット首相の承認と指示の下、タイ王国軍の武力衝突が起きます。
この事件は、事件前夜タクシン派のソムチャイ政権と与党国民の力党が憲法裁判所によって、解体されるという司法クーデターがきっかけでした。
タクシン派の反独裁民主統一戦線(UDD)は、司法クーデターにより総選挙を経ずに発足した反タクシン派のアピシット政権に反対します。
そこで、早期の下院解散、総選挙を求める大規模な集会を実施、バンコク中心部のルンピニー公園などを占拠して、アピシット首相への抗議活動を展開していました。
これに対して、アピシット首相は、バンコクに非常事態宣言を発令、47,000人以上の国軍兵士を投入する実力行使に転換、鎮圧のために各地点でデモ隊に実弾を発砲します。
これが2,000人以上の死傷者を生む悲劇、暗黒の土曜日事件となりました。また、デモを取材中の日本人カメラマン、村本博之さんが銃で撃たれ死亡したのもこの事件です。
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インラック・シナワトラ氏に実刑判決!!
暗黒の土曜日事件により国民の信頼を失ったアピシット政権は、解散総選挙を行いますが、反タクシン派の与党民主党は大敗、タクシン派のタイ貢献党が安定多数を獲得します。
こうしてアピシット政権は総辞職、インラック政権が発足しました。タイ初の女性首相として積極的に内政に携わり、国民融和や貧困対策を推進、国家の安定に貢献します。
経済の好調もあり、高い支持率を維持、また、1児の母で子育てをしながら公務をこなす彼女の人気は高く、元々女性が活躍するタイに安定をもたらすかと期待も高まりました。
しかし、国家安全保障会議事務局長の人事問題に不当介入したとされ、首相を解任されることになるのです。
加えて、再び起こった軍事クーデターにより、インラック首相の在任中に「米の買い上げ制度に関して、国に多額の損失を与えた」と職務怠慢容疑にて弾劾されます。
この弾劾の結果、インラック元首相に対し、2017年9月27日最高裁は、禁固5年の実刑判決を下すも、インラック氏は英国に渡り、亡命を求めて海外に逃亡中です。
しかし、この判決が民政復帰を進める軍主導の暫定政権に対し、都市部と農村部の格差の問題など、重い課題を突きつける形となりました。
同時に、タクシン派のさらなる反発を生み、再び暴動や政治的混乱が起こるのではないか!? と懸念されています。
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さいごに
先月、タイのプラユット暫定首相は、記者団に対し、総選挙を2018年11月に実施することを明らかにしました。これによって、軍政長期化から民政に復帰する見通です。
しかし、選挙の結果次第では、タクシン派と反タクシン派の対立が改めて鮮明化する可能性もあり、今後もタイの政治状況を注視していく必要があると思います。
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