クローントゥーイ は、バンコクの台所を支える市場があることで有名ですが、その裏にタイ最大のスラム街があることでも知られています。
しかし、なぜこのスラム街はクローントゥーイに誕生したのでしょうか!? ということで、今回は、世界的にも有名なタイのスラム街の歴史について、記事にしたいと思います。
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クローントゥーイ タイ最大のスラム街はなぜ港の中に誕生したのか!? 歴史や由来とは!?
この記事の目次
クローントゥーイ(Khlong Toei)とは!?
MRT(地下鉄)スクンビット駅からシーロム方面に南下するとクローントゥーイ駅に到着します。この周辺一帯が世界的に有名なクローントゥーイです。
ちなみにクローントゥーイの意味は、タコノキ運河に由来します。ファランポーンから東に向かって掘られたトゥロン運河に接続、東のプラカノン運河に至る運河です。
現在もこの運河は残っていますが、大半は真上に高速道路が建設され、かつてのトゥロン運河は埋め立てられて、現在はラーマ4世通りとなっています。
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クローントゥーイにバンコク初の近代的な港湾設備!!
バンコクは、河口から50キロほど離れた場所に位置し、長らく近代的な港湾設備は無く、川には民間の小さな桟橋が散在している状況でした。
よって、大型船の乗り入れができず、タイ湾のシーチャン島の沖合で、はしげに積み替えてからバンコクまで積荷を運んでいたのです。
そして、その河口から上ってきた船が川沿いに停泊して積荷を降ろしていました。そこで、1930年代にバンコクに初めての近代的な港湾設備の建設が計画されます。
この建設予定地に現在のクローントゥーイ周辺一帯が選ばれ、急ピッチで開発が始まることになりました。
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第二次世界大戦後のクローントゥーイ!!
1938年に着工がスタートするも、第二次世界大戦中にタイに入ってきた日本軍がこの港を使用することになり、工事は一時中断となりました。
そして、戦後に工事が再開、1948年に完成します。その後、クローントゥーイの新港は、取扱貨物の拡大と共に設備の拡張を続けました。
船舶の大型化にも対応するために、河口から港までのチャオプラヤー川のしゅんせつも行い、大型の船も乗り入れできるようになります。
しかし、結局は河川港のため、船舶のさらなる大型化には対応できず、港の拡張にも限界を迎えました。そこで1960年代に新しい深水港計画が浮上します。
これが1991年にタイ湾東海岸のレームチャバン港として完成、現在のクローントゥーイは海の玄関口の機能をレームチャバンに譲って、タイ第二の港となりました。
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タイ最大のスラム街はなぜクローントゥーイの港の中に誕生したのか!?
クローントゥーイの名前を有名にしたのは、実は港ではなくスラム街です。新港を建設した際に、将来の拡張を目的に広大な用地を収用しました。
その未利用の土地に地方から流れてきた人々が住みつき、タイ最大のスラムが形成されることになります。
特に1960年代からの経済開発の時代には、地方からバンコクに出稼ぎに来る人々が増加し、バンコクのスラム人口は拡大していきました。
そこで使われていない公共用地を不法占拠する形でスラム街が増殖、中でもまとまった未利用地が存在したクローントゥーイに数多くの住人が集まることになったのです。
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クローントゥーイのスラムを支援する運動も!?
クローントゥーイのスラムでは、NGOなどの様々な団体がスラム内の環境改善のために活動を行っています。
最も有名なものは、プラティープ・ブンソンタム・ハタが新設した『ドゥアン・プラティープ財団』でしょう。
クローントゥーイで生まれた彼女は、スラムの子どもたちの教育機会の拡大を目指して学校を設立し、貧国者への資金の貸し付けなどを行っています。
また、一部のスラムは区画整理をして建て替えられ、居住環境の向上も図られていました。しかし、現在でもクローントゥーイは変わらず貧困層の生活の場となっています。
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超ディープ!! クローントゥーイ市場とは!?
住所:Khwaeng Khlong Toei, Khet Khlong Toei, Bangkok, Thailand
MRTクイーンシリキットセンター駅の1番出口を出て、ラーマ4世通りと交差する歩道橋を上がれば市場に到着です。
バンコク最大級の生鮮食品の市場、クローントゥーイ市場は、元々スラム街だった一部を整備して作られました。
また、この市場の最大の特徴は、何と言ってもその安さです。一般的なバンコク都内のスーパーの半額以下で買うことができ、もちろん休日はありません。
日本の感覚からは程遠い劣悪な環境、強烈なにおい、熱気に衝撃を受けることは間違いないでしょう。まさに超ディープと呼ぶに相応しい市場だと思います。
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さいごに
クローントゥーイは、日常的に覚醒剤や違法薬物が押収されるなど、決して治安が良いとは言えません。しかし、その劣悪な環境でも一生懸命働くタイの人々が沢山います。
そして、そんな過酷な仕事にも関わらずにこやかな笑顔をみることができる市場、そこには日本人が忘れてしまった何かに気づかされることでしょう。
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